美容皮膚科が教える肌のトラブル対処法

2025年10月
  • アートメイクのダウンタイム正しい過ごし方

    医療

    アートメイクは、施術が終わったその日が完成ではありません。むしろ、そこから約1週間から2週間の「ダウンタイム」と呼ばれる期間こそが、色素を美しく定着させ、理想の仕上がりを左右する非常に重要な時間です。この期間の過ごし方を間違えてしまうと、色の定着が悪くなったり、感染症を引き起こしたりするリスクもあります。施術後の正しいケア方法と注意点をしっかりと理解し、美しいアートメイクを完成させましょう。まず、施術直後の肌は、細い針によって無数の小さな傷がついている状態です。そのため、赤みや腫れ、ヒリヒリとした痛みが出ることがあります。これらの症状は、施術部位を冷やすことで和らげることができますが、通常は数時間から2日程度で自然に治まります。そして、施術当日から翌日にかけて、色が非常に濃く感じられることに驚くかもしれません。これは、色素がまだ皮膚の表面に乗っている状態であり、傷ついた皮膚から出る浸出液と混ざっているためです。決して失敗ではないので、慌てずに経過を見守りましょう。ダウンタイム中に最も重要なケアが「保湿」と「保護」です。多くのクリニックでは、施術後にワセリンなどの軟膏が処方されます。これを、指示された通りに施術部位に薄く塗布し、常に乾燥させないように保護します。これにより、外部の雑菌から傷口を守り、皮膚の再生をスムーズに促すことができます。そして、施術後1週間程度は、施術部位をできるだけ水に濡らさないように注意する必要があります。洗顔やシャワーの際は、施術部位に水がかからないように工夫し、クレンジング剤や洗顔料が触れないようにします。施術部位以外のメイクは当日から可能ですが、眉やアイライン、リップなど施術した部位のメイクは、完全に皮膚が再生するまで(約1週間から2週間)は避けましょう。施術から3日から5日ほど経つと、施術部位の皮膚が乾燥し、薄いかさぶたができて、ポロポロと剥がれ落ちてきます。この時、非常にかゆみを感じることがありますが、絶対に掻いたり、かさぶたを無理に剥がしたりしてはいけません。かさぶたは、色素と一緒に皮膚に定着するための「蓋」の役割をしています。これを無理に剥がしてしまうと、色素が一緒に剥がれてしまい、色ムラの原因となります。かゆみが我慢できない場合は、保冷剤などで優しく冷やすと和らぎます。